おーみ えりさんは、お姉さんの盛岩幸恵さんといっしょに、震災をきっかけにイラストレーションとグッズの開発をする起業を始めたのだそうです。震災で彼女の家も浸水して大きな被害を受けたけれど、こういう時にこそ元気を出して前に進もうという気持ちを二人で持ちよったのでしょう。
なるほど、その絵もおおらかで屈託がない。
初めておーみえりさんの絵を見たのは、42回目の高橋博美さんの田舎ラボでのことでした。
その絵は下の写真のものです。神社の上に雲があって、龍や獅子などの神様が境内にたくさん遊んでいるダルマさんたちの様子を見ている風景のイラストレーションを見て、このまちてくギャラリーでも展示をお願いしようと思ったのでした。
それから、作品をいくつか見せてもらうと、彼女の絵の構成はいつも、空とまん中と地面の三つが重なって、それらがひとつひとつ、役割を果たしているように思います。
神社の絵では神様達が下界を見下ろして、下界の平和をよろこんでいます。真ん中は神社の絵があって、その場所の説明になっています。ダルマや動物たちがそれぞれ、自由に遊んでいる様子が見て取れます。
その上中下のみっつが、それぞれの背景をものがたって、絵の中の愉しい様子をそれぞれの場所から満喫しているように感じたのです。
大きな看板4ヶ所には、そうした作品を大きくプリントして展示をしました。
22ヶ所あるA4のサイズの作品写真は、ひと言の言葉を添えたイラストレーションです。
絵は、絵で表現するのが本来で、文字や言葉はまた別の表現だと思いますが、ここではその絵と言葉の共同作業ということでしょう。
この「まちてくギャラリー」では、現代美術といわれるものを中心に展示していこうと、最初から考えていましたが、今回のおーみ えりさんの作品はイラストレーションであり、小さい作品は美術的な観点から描かれたものではなく、言葉と絵で人を元気づける事ができるように考えられているとも、お姉さんは話していました。
下の絵もそうですが、神社の風景であったり、宮古の浄土ヶ浜で無数の行灯が空を飛んでいたりと、宗教的な心象風景が多くあるように感じます。
それはきっと、そういう雰囲気が好きであったり、共感を覚えるからなんだと思います。そういうせいなのか、宮古のお寺札所になっている、長根寺というお寺からの依頼で御朱印よりももっと親しみやすいものを、ということで記念のおみくじを現代的な軽い言葉と絵で作ったり、小さなダルマを作ったりと工夫をしていて、好評だそうです。
芸術というと、なにかしかめ面をした作家の顔が浮かんできたりしますが、彼女達はそういうことを易々と跳び越えて、楽しみに変えてしまっているようです。
わたしなどはどこかうらやましくも感じたりしています。
芸術は崇高なところにあるのではなくて、実は日常の中にあるはずだと、この「まちてくギャラリー」を始めているにもかかわらずです。
㊻ おーみ えり 展
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