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ようやく、ウエブサイトを出すことができるようになりました。WordPressの教則本を何冊買ったことかわからないくらいです。何年前から取り組み始めたかも記憶が曖昧なくらいです。しかし、まだたったの2ページだけですが何とか「まちてくギャラリー」の概要が見えるようにはなったと思います。これから「過去の展示」や作ってきた小冊子のPDFなども閲覧ダウンロードできるようにしてゆきます。
現在の展示 2月3日〜4月30日 達川 清 展 次回は「伊藤 彰規 展」

㊽ 達川 清 展

2024年2月3日から4月31日の48回目の「まちてくギャラリー」は達川清さんの写真です。

下の写真を初めて見た時、わたしは強く衝撃を受けました。
背景に拡がる水面、水に映る空の光り。枯れた草が寂しく立っている岸辺。
「エカシ」と呼ばれる長老の姿と、奥さんのふたりが並んでたたずむ姿がアイヌの文化を守り続ける男の誇りまでが、ここには映し出されているように感じたからです。

そして、聞けば達川さんは日大芸術学部の写真学科の卒業だそうです。日大の芸術学部からは多くの写真家が生まれ、活躍していますが、そうした環境できちんとした写真学を学び取って得た技術の大きさもあるのだと思います。
このほかにも、今回のために多くの写真を送っていただきました。
日常の生活のシーンを切り取る、スナップ写真のようなものもいくつかありますが、ほとんどはこのような絵を作ろうと計画的に場所や被写体の配置を計画して作った、「静的」な写真が多くあります。
、動いている被写体の瞬間的な動きを止めてしまう、「動的」な作品ではなく、とても計算されて作られているように思いました。

そうした達川さんの「静的」ではあるけれど、「視線の躍動」をこの「まちてくギャラリ」で紹介することができればと思いながら2月3日からの展示に備えて準備をしているところです。

  • 〈エカシ宇梶〉  8×10(エイトバイテン)は8インチと10インチ大のフィルムを使った大判カメラの事です。
    一般的なカメラはほとんどが35ミリと呼ばれるフィルムが主流でした。35ミリとはいっても実際のサイズは
    36×24ミリという画面の大きさです。最も最近ではデジタルカメラの普及によってフィルムの方が珍しくなってしまいました。そのフィルムの大きさが8×10では55倍も大きな面積です。
    そういう大きなフィルムで撮影された画面は非常に精細な表現が生まれて、非常にきれいです。だけど、写真は光を取り込む技術によって作られるものです。
    今どきのシャッターボタンをおせば、自動的に写ってしまうデジタルカメラとは訳が違います。
    このアイヌの老夫婦の写真の美しさは、その大判カメラの持っている高精細という特徴を十二分に発揮しつつ、画面全体にまんべんなく光を取り込んで、しかも、中心に立っている二人の姿を際立たせるように明るく、しかも、暗い部分も洩れなく、余すところもなく、とらえて、しかもアイヌの誇りを無言に語っているように感じます。
    この写真の他にも、今回送ってくれた作品はたくさんあるのですが、特にこの写真がわたしは圧巻の表現だと思いました。

    もうひとつわたしが感じたことは、構図の美しさがとても素早く計算され尽くしているようにも感じました。
    この写真にしても、実は非常に安定した画面の構成になっています。それは、画面の中央に二人が立っていて、背景の川の水が静かに広がっています。さらにその後ろの山すその稜線が左右から中心に向かって斜めに、求心的に集まっています。つまり、画面中央に向かってすべてのものが、集まっている、静的な画面のように感じます。
    達川さんは若い頃には、多くのファッション写真を撮影していたそうです。
    そういえば、ファッション写真というのは、構図がどんなに動きを感じさせるような画面でも、結局はポーズですよね。
    ファッションを見せるのが、目的の写真です。モデルはジッとしていて、読者の視線を釘づけにしなくてはならないわけです。画面の構図がどんなに動きを暗示させても、眼は服に集中させられるわけです。
    だから、静的な画面がファッションを主張するのではないでしょうか。
    これは写真が素人のわたしが感じた事で、達川さんに聴けば、ちがうよ。といわれてしまうかもしれません。


この写真も大きな白い紙を両手で抱えきれないくらいにたくさん持っている人の両腕が、それを必死で押さえつけているように見えます。
紙の両端の線がXの字のように、中心を求めているように感じます。つまり左右がほぼ、対称形になって、動きがあるように見えるのですが、実はとても静的な一枚だと思います。