葛西定弘さんは四朗さんのお兄さんですでに故人となられています。やはり、絵を描くことが好きで膨大な数のドローイングブックを残しておられます。
四朗さんは病気だったお兄さんの看病をし最後を看取られ、定弘さんが残した作品とやはり、大量の画集や美術の本を蔵に展示しておられます。遠野の道の駅「風の丘」から猿が石川を挟んだ向かいのあたりの「虫のギャラリー」を訪ねられ、葛西さん兄弟の作品に触れていただければものを表現する素朴で率直な原点を見ることになるでしょう。
葛西四朗さんは医学博士でありながら、虫の研究や絵画、それに文学で表現するリベラルな平和への希求にわたしは非常に感じ入ったのです。お兄さんの定弘さんも膨大なドローイングブックに、自分が描くべき絵というものへの疑問と否定の飽くことなき繰り返した痕跡を痛いほどの手の軌跡を残しています。
どうやったら自分の描く線が絵になるのだろうか。単純な線でいいから、思いの丈を測りたいと叫んでいるようなドローイングの数々でした。
《題不明》 葛西定弘
《題不明》 葛西定弘
《題不明》 葛西定弘
《題不明》 葛西定弘
《題不明》 葛西定弘