
接着剤が効くようにプライマーを塗ります



庭に置いてある「風の楕円」。去年近所の人たちに手助けしてもらいながら設置をしました。
障子紙を赤く塗り鉄の枠にホッチキスで留めることで軽く動きます。
これを来年の9月から始まる「石神の丘美術館」での個展で新しく作ろうということになりました。
ワークショップとして多くの人に手伝ってもらう形でこの旗を取り付けることになるのでしょう。
だけど、1年経って見ると、紙がカールして9センチ角であったものが、その分小さくなってしまっています。
紙を2枚重ねることでカールを止めることはできますが、逆光では透けてしまい、白が白ではなくなることもあります。
アルミの薄板を使うことを考えました。そうすれば透けることもなく、赤と白のコントラストが保たれます。
だけど、どうやって縦の棒に取り付け、クルクル動くようにするのはどうするか?色々試してみましたが、
最初の写真にあるようにストローをアルミ板の端に接着して、ストローを縦に切れ込みをいれることで、縦の棒に巻き付ければいいと考えました。
だけど、ストローはポリプロピレンという接着剤が効かない素材でした。
探すとそれが付くといううたい文句の接着剤もありました。
でもすぐに取れちゃう。プライマーを塗布してもダメ。
そこで、アルミを半丸にプレスして接着面を増やせばいいかもと、試してみるとまあまあの成績。
その行程が上の写真です。
下の方に白が濃いところは、スチロールの薄い板で作った旗です。
これは非常に軽くて、ストローの軸を中心に気持ちよく風に従います。
しかしこれが、やはり接着が難しく暫くすると風の勢いに負けて取れてしまうものもあり、改良の余地があります。
中段の少し色が違っているあたりの旗はアルミの薄い板で作ったもの。写真で見ると色も四角い形も今一の感じがしますが
実際に見た感じではそれほどの違いを感じられません。アルミの薄板は傷がつきやすいために、送られてくる時には
筒状に丸められています。そのために、丸いクセが付いていて小さな四角に切っても、ソリが着いてしまっているので
その分正面を向いている時にも、面積が小さめに移っているのかも知れません。
しかし、接着面を増やすことが比較的容易なので、接着の強度は一番良いようです。
スチロール板は5ミリの厚さを使っています。その5ミリをストローに接着するのですが接着の強度はあまり良くないようです。
もっと粘度の高い接着剤を使えば改善するかも知れません。
ここまでたどり着くのに、あーでもない、こうでもなしと随分試しました。
ゆらゆらと揺れ動く面が風の形を現せて表面の様子が変わるのですが、それは、山の木々も風によって葉の色が変わるのを私たちはいつも眼にしています。
そういう姿とわざわざ作ったこの形に、どんな違いがあるのでしょう。
むかし北海道のダムの跡地へ行ったことがあります。堰堤の跡に立つと遥か下の方に見える広い草原の草が風に揺れて、風の波が見事に現れていました。
その光景が忘れることができません。風の足跡が波の伝わる形になって幻想的な風景でもありました。
それに比べれば、ほんのわずかな面での出来事です。しかし、それを楕円形に収めて赤と白に塗り分けることで単純化しています。
単純化することは、要素を取り出して明らかな形にすることです。それをよりはっきりさせるためにも、赤と白のコントラストが大切な要素になると思います。
そしてこれが石神の丘のグリーンの斜面に立って、国道からも見えるように立てようと考えています。
その時にどのような景色になるか。具体的なイメージをこのように繰り返しながら、はっきりさせて行く行程が作る側としてはかなり面白く感じられるところです。
しかし、不確定な部分がもっとあって、それがスリルを生み出すところもあるわけです。
その不安と疑問の間で揺れる自分の位置が、それこそスリルで始まるまでどれくらい不安なことか。

