
水沢の天文台へ時々出かけます。資料館もありますが、そっちよりこの景色を見るだけで、私は全く飽きません。この電波望遠鏡を、ただ眺めているだけであっという間に一時間が過ぎてしまうのです。
時間を早めて暇つぶしに来ているわけでもありませんが、少し、離れたところにある建物の中でこれを操作し、はるか何億光年の光景を眺めている人があることをかいま見てるような気がするのです。
一般的な知識としての私の天文は、微細な光りを元に、膨大な時間と距離を縮めてしまう想像力のかたまりなんだろうと思いながら、ため息をつくのです。
その想像力がこのアンテナから発射され、彼方からの信号が戻ってくるのだろう。
宇宙との交信が、それをする人の頭の中に映し出されて、あのブラックホールの写真になったのか、などと思っているだけで、ぼんやりと時間は流れてしまうのです。
このアンテナの先から、ほら一直線に想像の電波が宇宙へ向かって繋がっている線が見えてくるでしょう。
しばらくここへ出かけていないので、私の想像力は乾燥し始めているのかもしれません。
春めいてきてポワーっと霞のかかる空を、クリーニングしにいってこよう。

コメント