杉木奈美さんには22回目の「まちてくギャラリー」の時に松浦延年さんといっしょに作品の写真を提供していただいたことがあります。
白い紙に水彩絵の具であったり、墨や色鉛筆といった画材で独自な画面を描き上げるその姿は強い印象を与える「かたまり」というイメージ(そういっていいのか少し戸惑いがありますが)をずっと長く追い続けている人でもあると思います。
そのかたまりというのは、ある時は非常な大きさを感じさせる煮えた泥の泡が重なった不思議な姿を見せていたりもします。
また、大きく膨らんだ球形の柔らかなかたまりが重なりひしめき合っているような感じを受ける画面であることもあります。
さらに、宇宙の彼方の星雲をさらに拡大した天体写真を想わせる時もあります。
それは、杉木さん自身にもはっきりとはしないであろう、彼女のエネルギー、おそらく秘められているのかもしれない命の底の方から湧きでる力が、静かに湧き上がる、その証しなのではないでしょうか。そんな気持ちで私はいつも杉木さんの強さを感じながら見ています。
下の文章は杉木さんが展覧会にあわせ作っている、小冊子からページの抜粋です。このふたつの文章からも「かたまり」と称しているものが、物理的なかたまりにとどまらず、深奥に隠れて杉木さんを突き動かしている「なにか」の「かたまり」なのではないかと想像をせずにはいられません。
ものを思い、ものを作る、その端緒を探ろうとしているのではないでしょうか。杉木さんの絵を見ていると、そういう思いに囚われます。
B200101TOKYOBIRUKEI
H090520-2HANOKATAMARI 和紙に水彩・墨
N230930NEKOWOKAKU 和紙に水彩・白磁
S120127KATAMARIWOKAKU和紙に水彩・胡粉
S140907KATAMARIWOKAKU和紙に水彩・墨
S210701KATAMARIWOKAKU和紙に水彩・色鉛筆