2月になって、何となくだけど空気に力が出てきたような気がします。そういう感じ、きっと毎年感じているはずなんだけど、昔のそういう感覚を忘れてしまっているのか、ほっとするような凄く新鮮さをもってよみがえってきます。
下の水辺へ下りてみればこの通り、田瀬湖は全面的に凍って雪をかぶっています。広くなった陸地続きを動物の足跡が沢山繋がって彼らの行動の活発さを垣間見せられます。
この数年間、氷上の釣りが許可されるほどの厚さを確保できず、テントの姿をみることもできません。
私は釣りというものが理解できずほとんどしたこともありません。若い頃夏の海でしたこともありますが、糸を海にたらすと、やがてぴくぴくと魚が餌をついばむ振動が竿を通じて感じられます。その時、海という大きな別の世界と通じた、というのか触れてしまったような感覚に襲われて、まさに驚愕でした。
自分が呼吸をして陸の上で生きていて、そこで暮らしていることが全てだと思っていたのに、海の中にも別の世界がある。そんなことは、いろんなことから知識としては知ってはいるつもりだけど、差を握っている掌にじかに伝わる驚きでした。
他の生きものの命を感じることは普段の生活の中で、いくらでもあります。猫を抱いて柔らかい毛並みに、ブーンと飛んでくる蜂にチクッと刺されて眼の上が腫れたこともあります。蛇がとぐろを巻いて道端にいるのをみて飛び上がった記憶も消し去れません。
世界に生きているものは自分だけでもないのはあたり前だし、海にだって河にも別の静物画それぞれの世界をつくっていることは、当然知っています。でも、こうしてじかに体に伝わる別の生きものの生命活動に触れてしまった時、それはまさに驚愕でした。
そして、こんな、水面下の世界との通信と駆け引きをしながら、それに勝とうとするなんて。凄い。これにはまったら、きっとのめり込んでしまうかも知れない、そう思ったら自分は絶対に釣りを好きになんかなってはいけない。そう思ったのでした。
もちろん、自分に釣りや狩ることへの感覚が決定的に欠如していることがそう思わせたのだということも知っていますけどね。
目次
コメント